VA管理指導士とは?試験内容・合格率・テキスト(参考書)と勉強法を現役CEが解説

VA管理指導士とは?新資格の試験内容・合格率を現役CE目線で解説 資格・試験対策

※本記事はPRを含みます。

資格・キャリア · Vascular Access

2026年に第1回試験が実施された新資格「VA管理指導士」。シャントエコーに関わるCEの間で話題になっているので、透析室で働く立場から、分かる範囲で情報を整理しておきます。

VA管理指導士とは

VA管理指導士は、日本透析医学会・日本透析アクセス医学会・日本腎不全看護学会・日本血液浄化技術学会の4団体による合同認定資格です。透析患者の高齢化にともないバスキュラーアクセス(VA)管理の重要性が増す中、施設ごとにバラつきがちなVA管理のレベルを底上げする目的で創設されました。

VA(バスキュラーアクセス)とは

透析治療で血液を体外に取り出すための血管の出入り口のこと。シャント(AVF・AVG)やカテーテルなどが該当します。詳しい仕組みはシャントとは?血管走行と穿刺の基本で解説しています。

対象になる職種

公式サイトによると、対象は「普段から透析業務に携わり、穿刺やVAモニタリング、エコーを活用してVA管理に取り組んでいる医師・看護師・臨床工学技士など」で、経験年数は問われません。CEに限定された資格ではなく、多職種共通の認定資格という位置づけです。

試験の仕組み:一次試験+二次試験の2段階

VA管理指導士の認定までの流れ
図:VA管理指導士の認定までの流れ

試験は一次試験(筆記・マークシート方式)と二次試験(VA管理レポートの審査)の2段階で構成されています。二次試験は一次試験の合格者だけが対象になり、自分の施設で実際に行ったVA管理の内容をレポートにまとめて提出し、その内容が審査されます。

区分 内容
一次試験 筆記試験(マークシート方式)
二次試験 VA管理レポートの提出・審査(一次試験合格者のみ)

第1回試験(2026年7月)の内容

2026年7月12日に第1回一次試験が東京都内の会場で実施されました。時間120分、マークシート80問、途中休憩なしという形式だったようです。出題範囲は幅広く、大きく分けると以下のようなテーマが含まれていたと言われています。

上肢血管の解剖・生理
VAの歴史・種類・特徴(AVF/AVG/カテーテル等)
VA作製後の合併症
理学所見(視診・触診・聴診)によるVA評価
VAモニタリング(実血流量・再循環率・静脈圧等)
エコーを用いた管理・評価
穿刺技術
VA修復・治療(VAIVT等)
多職種連携・VA看護
診療報酬・医療経済

公式サイトの認定概要でも「VAの基礎知識や合併症の理解、評価技術、治療法・予防法の知識、モニタリング値と身体所見の照合、穿刺位置の判断スキル」を問う試験とされており、座学の知識だけでなく、日常業務でどれだけVA管理に向き合ってきたかが問われる内容になっているようです。

合格率はどれくらいか

2026年8月18日に第1回試験の合否結果が発表され、162名が合格しました。運営協議会から正式な合格率・得点は公表されていませんが、受験した方のブログでの報告によると、全体のおよそ6割前後が合格したとみられています。まだ第1回のため、今後回を重ねる中で難易度や合格率が変わっていく可能性もあります。

合格率の数値は公式発表ではなく、受験者による体験談ベースの推定です。正確な情報はVA管理指導士認定制度協議会の公式サイトでご確認ください。

取得を目指す価値はあるか

まだ始まったばかりの資格なので、診療報酬上の加算に直結するような制度にはなっていません。ただ、透析施設におけるVA管理は今後ますます重要になる分野で、シャントエコーを日常的に行っているCEにとっては、自分の知識・技術を客観的に確認する良い機会になりそうです。エコーの基礎から押さえたい方は、以前書いたエコーガイド下穿刺とは?短軸法・長軸法の基本もあわせて参考にしてください。

分野ごとの勉強のポイント

第1回試験で出題された範囲をもとに、分野ごとに押さえておきたいテーマをまとめました。

分野 押さえておきたいテーマ
上肢血管の解剖・生理 動脈・静脈の名前と走行、シャントを作る代表的な部位
VAの種類・特徴 AVF・AVG・動脈表在化・カテーテルの違いと選び方
VA作製後の合併症 狭窄・閉塞・感染・瘤・スチール症候群・静脈高血圧・過剰血流
理学所見による評価 視診・触診・聴診で分かること、異常のサイン
VAモニタリング 静脈圧・実血流量・再循環率の意味と評価
エコーによる管理・評価 短軸法・長軸法、FV・RI、狭窄や血栓の見え方
穿刺技術 穿刺部位の選び方、針の向き、ローテーション、エコーガイド下穿刺
VA修復・治療 VAIVT(PTA)、外科的な再建の考え方
多職種連携・VA看護 チームでの情報共有、患者さんへの自己管理の指導
診療報酬・医療経済 VAに関わる診療報酬の考え方
感染管理 標準予防策、穿刺部やカテーテルの感染対策
災害時対応 災害時の透析の継続、施設間の連携

それぞれの分野の基礎は、このブログのシャントの記事やエコーガイド下穿刺・PTAの記事でも解説しています。

VA管理指導士のテキスト・参考書は?

「VA管理指導士 テキスト」で調べている人が多いので、先に結論から書きます。

結論

  • 2026年10月時点で、VA管理指導士認定制度協議会の公式サイトには、公式テキストや推薦図書の掲載はありません
  • 一次試験は「講習会動画の内容を含め、VAに関する専門的知識全般から出題」とされています(公式サイトの試験開催情報より)
  • そのため、必須の認定講習会の動画を「テキスト」として使い、足りない分野を専門書とガイドラインで補い、問題演習で確認するのが現実的な勉強法です

公式の「試験に関するQ&A」でも、「試験問題は講習会の内容以外からは出ないのか」という質問に対して、そうとは言えないという趣旨の回答がされています。講習会だけで安心せず、VA管理の知識を幅広く押さえておく必要があります。

勉強の材料の組み合わせ方

材料 使い方
認定講習会(オンデマンド配信) 受験に必須の講習会。2026年は4月1日〜30日の配信で、受講料は15,000円でした。配信期間中にくり返し見て、自分用のノートを作ると「テキスト」の代わりになります。受講日から3年間は再受講が免除され、その間は受験資格が続きます
専門書 エコー・穿刺・VAIVTなど、講習会で分かりにくかった分野を補う(下で紹介)
ガイドライン 日本透析医学会の、バスキュラーアクセスの作製および修復に関するガイドライン。治療の条件など、数値の根拠を確かめるときに使う
問題演習 知識が身についたかを確かめる。当ブログのVA管理指導士 対策問題集(無料公開分)もどうぞ

出題項目と、押さえたいポイント

公式サイトでは、一次試験の出題項目の例として次の10項目が挙げられています。項目ごとに押さえておきたいポイントと、参考になる本(下の「勉強に使える本」で紹介)をまとめました。

出題項目の例 押さえたいポイント 参考になるもの
上肢血管の解剖および生理 腕の動脈・静脈の名前と走行、シャントにしたときの血流の変化 VA教室
VAの歴史、種類および特徴(AVF、AVG、カテーテル、動脈表在化など) それぞれの特徴と、どんな患者さんに選ばれるか VA教室
VA作製後の合併症 狭窄・閉塞・感染・瘤・スチール症候群・静脈高血圧の見分け方と対応 VAは透析室で守る!
理学所見(視診・触診・聴診)によるVA評価 シャント音・スリルの変化から、狭窄の場所を推定する考え方 シャントの基礎(下の記事)
VAモニタリング(実血流量、再循環率、静脈圧変化など) それぞれの数値の意味と、異常が出たときに考えること この記事の「VA管理で日常的に見ている数値」
エコーを用いた管理・評価(原理、機能評価、形態評価など) Bモード・ドプラの使い分け、FV・RIの測り方と目安 シャントエコー入門
穿刺技術(消毒、ブラインド穿刺、エコーガイド下穿刺、止血など) 穿刺部位の選び方、短軸と長軸の使い分け、止血の確認 透析穿刺&シャントエコーをきわめる!
VA修復・治療(VAIVT、再建術、縫縮術など) PTAの適応の条件、バルーンの種類、外科的な治療を選ぶ場面 PTAの記事(下の記事)
多職種連携およびVA看護 観察結果の共有のしかた、職種ごとの役割分担、患者さんへの指導 VAは透析室で守る!
診療報酬および医療経済 PTAの算定要件(3か月以内にくり返す場合の条件など) PTAの記事(下の記事)

基礎を確認したいときは、当ブログの次の記事も参考にしてください。

出典:VA管理指導士認定制度協議会 公式サイト(試験開催情報・講習会開催情報・試験に関するQ&A、2026年10月時点)。今後、公式テキストや推薦図書が案内される可能性もあるので、最新の情報は公式サイトで確認してください。

勉強に使える本

VA管理指導士の試験では、VAの基礎、シャントエコー、穿刺、トラブルへの対応まで幅広く問われます。VA管理を学ぶのに役立つ本を紹介します。

Clinical Engineering 2024年臨時増刊号 イチから学ぶバスキュラーアクセス教室
VA管理

Clinical Engineering 2024年臨時増刊号 イチから学ぶバスキュラーアクセス教室

日本血液浄化技術学会のVA管理検討委員会が手がけた、エコーを使ったVA管理を基礎から学べる増刊号です。

こんな人向け:VA管理を体系的に学び直したい人/エコーでの評価を身につけたい人

価格目安:4,180円

看護師・臨床工学技士のための 透析シャントエコー入門
シャントエコー

看護師・臨床工学技士のための 透析シャントエコー入門

看護師・臨床工学技士向けのシャントエコーの入門書。機能評価・形態評価・エコーガイド下穿刺を、WEB動画つきで学べます。

こんな人向け:シャントエコーをこれから始める人/動画で手の動きを確認したい人

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透析穿刺&シャントエコーをきわめる!(透析ケア2025年冬季増刊)
穿刺・エコー

透析穿刺&シャントエコーをきわめる!(透析ケア2025年冬季増刊)

穿刺とシャントエコーの基本から「こんなときどうする?」まで扱う、透析ケアの2025年冬季増刊です。

こんな人向け:現場でのトラブル対応も含めて学びたい人

価格目安:4,400円

バスキュラーアクセスは透析室で守る! 透析スタッフによるエコーを用いたVA管理
入門

バスキュラーアクセスは透析室で守る! 透析スタッフによるエコーを用いたVA管理

透析スタッフがエコーを使ってVAを管理する方法をまとめた本。比較的手に取りやすい価格です。

こんな人向け:まず1冊、薄めの本から始めたい人

価格目安:2,420円

※価格は2026年10月時点の目安です。最新の価格・版・在庫は販売ページでご確認ください。

問題形式で確認したい人は、当ブログのVA管理指導士 対策問題集(無料公開分)もどうぞ。

勉強の進め方

1

日々の業務を「言葉で説明できる」ようにする

VA管理指導士の試験は、実務の知識を問う内容が中心です。普段なんとなく行っている評価や穿刺の判断を、「なぜそうするのか」まで説明できるかを確認していくのが一番の近道です。

2

苦手分野を問題で洗い出す

職種によって得意・不得意が分かれます。CEは診療報酬や看護の分野、看護師はエコーやモニタリングの数値の分野が手薄になりやすいので、問題を解いて弱点を見つけてから集中的に学ぶと効率的です。

3

二次試験を見据えて、日頃の記録を残す

二次試験は自施設でのVA管理についてのレポートです。普段から、シャントの評価や治療の経過、チームでの取り組みを記録しておくと、レポートの材料になります。

VA管理指導士の試験範囲にも含まれるPTA(VAIVT)は、シャントのPTAとはで、適応の条件やバルーンの種類までまとめています。

透析技術認定士との違い

VA管理指導士 透析技術認定士
内容 バスキュラーアクセスの管理に特化 透析療法全般(原理・装置・合併症・薬など)
対象 医師・看護師・CEなどVA管理に関わる職種 臨床工学技士・看護師・准看護師
受験条件 経験年数の条件は問われない 透析の実務経験2年以上(准看護師は3〜4年以上)と講習会の受講
試験 筆記(一次)+レポート(二次) 筆記100問(マークシート)

透析全般の知識を固めるなら透析技術認定士、シャント管理を専門にしたいならVA管理指導士、という選び方ができます。両方を目指す人も少なくありません。

VA管理で日常的に見ている数値

VA管理指導士の試験では、モニタリングの数値と身体所見をつなげて考える力が問われます。透析室で日常的に見ている数値を、何のために見ているのかとあわせて整理しておきましょう。

数値 何がわかるか 変化したときに考えること
静脈圧 返血側の通りやすさ いつもより高い状態が続けば、返血側より中枢の狭窄を疑う
脱血圧・脱血状況 脱血側の血液の取れやすさ 脱血不良なら、脱血側の狭窄や穿刺位置の問題を考える
再循環率 返した血液が再び脱血されている割合 高くなると透析効率が下がる。針の距離やシャントの血流量を見直す
上腕動脈の血流量(FV) シャント全体の血流の多さ 少なくなっていれば狭窄を疑う。多すぎる場合は心臓への負担も考える
血管抵抗指数(RI) シャントの先の流れにくさ 高くなっていれば狭窄を疑う

筆者の施設では、FVが400mL/分以下、RIが0.6以上を狭窄を疑う目安にしています。目安は施設によって違うため、数値だけでなく、シャント音やスリル、透析中の様子とあわせて判断します。エコーでの評価の流れはエコーガイド下穿刺・PTAの記事で詳しく解説しています。

勉強のスケジュール例(3か月)

1

1か月目:範囲の全体像をつかむ

上肢の血管の解剖、VAの種類、合併症など、基本の分野を一通り確認します。シャントの記事のような基礎の内容から入ると、全体がつながりやすくなります。

2

2か月目:苦手な分野を問題で洗い出す

モニタリング、エコー、VAIVT、診療報酬、感染管理、災害時対応など、職種によって手薄になりやすい分野を、問題を解きながら確認します。

3

3か月目:現場の症例とつなげて仕上げる

自分の施設の症例を思い浮かべながら、「この数値ならどう判断するか」を説明できるようにします。二次試験のレポートを見据えて、普段のVA管理の記録も整理しておきます。

二次試験のレポートに向けて今からできること

  • 評価の記録を残す:シャント音・スリル・静脈圧・エコーの数値などを、日付とあわせて記録しておく
  • 治療の前後を比べる:VAIVTの前後で数値や症状がどう変わったかをまとめておく
  • チームの取り組みを書き出す:医師・看護師・CEで、誰が何を担当し、どう情報を共有しているかを整理する
  • 個人情報に配慮する:レポートに症例を使う場合は、施設のルールに沿って個人が特定されないようにする

レポートの形式や提出の条件は、必ず公式の募集要項で確認してください。

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よくある質問

Q. 臨床工学技士でなくても受験できますか?

A. 公式サイトによると、医師・看護師・臨床工学技士などVA管理に携わる方であれば職種を問わず対象とされています。

Q. 受験に必要な経験年数はありますか?

A. 経験年数の条件は問われないとされています。ただし試験内容は実務知識を問うものなので、ある程度VA管理の実務経験があった方が対策しやすいと思われます。

Q. 一次試験に合格すればそれで資格が取れますか?

A. いいえ。一次試験(筆記)に合格した人だけが、二次試験(自施設でのVA管理レポートの提出・審査)に進める仕組みです。両方を通過して初めて認定されます。

Q. 次回の試験はいつ行われますか?

A. 本記事作成時点では次回日程は公式発表されていません。最新情報はVA管理指導士認定制度協議会の公式サイトで確認するのが確実です。

Q. VA管理指導士の公式テキストはありますか?勉強に使える資料は?

A. 2026年10月時点で公式テキストや推薦図書は案内されていません。必須の認定講習会の動画を中心に、日本透析医学会のバスキュラーアクセスに関するガイドラインや、シャントエコー・VA管理の専門書で補うのが基本になります。そのうえで、問題を解いて苦手な分野を見つけ、資料に戻って確認する流れがおすすめです。

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まとめ

VA管理指導士は、透析医療4団体が合同で立ち上げたばかりの新しい資格です。経験年数を問わず、VA管理に関わる医師・看護師・CEなら誰でも挑戦できる点が特徴で、第1回試験では受験者の約6割が合格したとみられています。制度自体はまだ発展途上ですが、シャントエコーやVA管理の実力を客観的に確かめたい方にとっては、注目しておく価値のある資格だと思います。

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