臨床工学技士国家試験は、9科目という幅広い範囲から出題される試験です。10年前に自分が受験した頃の記憶と、後輩の勉強を見てきた経験をもとに、試験の全体像と勉強の進め方を整理しておきます。
試験の基本情報
出題される9科目
臨床工学技士国家試験は、医学と工学の両方にまたがる9つの科目から構成されています。
臨床医学総論
医用電気電子工学
医用機械工学
生体物性・材料工学
生体機能代行装置学
医用治療機器学
医用計測機器学
医用安全管理学
この中でも配点比率が高いとされるのが「生体機能代行装置学」です。人工呼吸器・人工心肺装置・血液浄化装置(透析)など、CEの中心業務に直結する分野なので、時間をかけて理解しておく価値が大きい科目です。
科目ごとの特徴
解剖生理や疾患の基礎知識。医療系の一般教養に近く、暗記中心で得点しやすい範囲です。
工学系の基礎科目。計算問題が中心で、公式の意味を理解していないと応用が利きにくい分野です。
人工呼吸器・人工心肺・血液浄化などCE業務の中心。配点が高く、最も力を入れるべき科目です。
勉強の進め方(自分の場合)
まず過去問を1年分解いて出題傾向を掴む
いきなり教科書を通読するより、実際の出題形式・難易度感を先に知っておくと、その後の勉強の効率が上がります。
配点の高い科目から手をつける
生体機能代行装置学のような配点比率の高い科目を優先し、暗記系科目は隙間時間に回すという時間配分にしていました。
計算問題は「解き方」より「意味」を理解する
公式を丸暗記するより、「なぜその式になるのか」を理解しておくと、似た形式の応用問題にも対応しやすくなります。
現場から見た実感
国家試験の勉強と、実際の現場業務は思っている以上につながっています。透析の勉強をした後に実習でダイアライザに触れると、教科書の内容が急に「腑に落ちる」瞬間がありました。逆に、実務を経験してから改めて教科書を読み返すと、当時分からなかった部分が理解できることもあります。
合格率と合格基準
臨床工学技士国家試験は、1問1点・180点満点で、例年6割程度が合格ラインになっています。2026年3月に行われた第39回の結果は次のとおりです。
合格率はここ数年、60〜80%台で推移しており、年によって難易度の波があります。第39回は過去5年で最も低い合格率でした。「毎年8割近くが受かる試験」と油断せず、6割を確実に超える準備をしておくことが大切です。
科目ごとの勉強のポイント
9科目それぞれで、押さえておきたい主なテーマをまとめました。
| 科目 | 主なテーマ | 勉強のポイント |
|---|---|---|
| 医学概論 | 医療倫理・法規、解剖生理の基礎、公衆衛生 | 暗記中心。直前期にまとめて詰め込みやすい |
| 臨床医学総論 | 各臓器の疾患、腎臓・循環器・呼吸器の病態 | 生体機能代行装置学とつながる内容が多い |
| 医用電気電子工学 | 電気回路、電子回路、オペアンプ、デジタル回路 | 計算問題が多い。公式の意味から理解する |
| 医用機械工学 | 力学、流体力学、熱、波動 | 血流や圧力の問題として臨床とつなげて覚える |
| 生体物性・材料工学 | 生体の電気的・機械的性質、生体材料と適合性 | ダイアライザや人工血管の素材と関連づける |
| 生体機能代行装置学 | 人工呼吸器、血液浄化、人工心肺、補助循環、ペースメーカ | 配点が大きい最重要科目。原理・操作・トラブル対応まで |
| 医用治療機器学 | 電気メス、除細動器、レーザー、内視鏡、超音波治療 | 原理と安全上の注意点をセットで覚える |
| 医用計測機器学 | 心電計、血圧計、パルスオキシメータ、画像診断装置 | 測定原理と誤差の原因が問われやすい |
| 医用安全管理学 | 電気的安全(漏れ電流・接地)、医療ガス、保守点検 | 数値(漏れ電流の許容値など)の暗記が得点源 |
勉強スケジュールの目安

試験の約1年前〜半年前:土台づくり
苦手科目の洗い出しと、計算系科目(電気電子・機械)の基礎固め。過去問を1年分解いて、自分の現在地を知っておきます。
半年前〜3ヶ月前:過去問を繰り返す
直近5年分程度の過去問を科目別に繰り返し、間違えた問題の「なぜ」を教科書で確認します。生体機能代行装置学はこの時期に重点的に。
3ヶ月前〜直前:弱点つぶしと暗記
模試や過去問の通し演習で時間配分を確認しつつ、医学概論や安全管理学の数値など、暗記で取れる分野を仕上げます。
計算問題で点を落とさないコツ
- 単位をそろえる:mAとA、mLとLなど、単位の変換ミスが失点の大きな原因になります
- 式の意味を言葉で説明できるようにする:「電力=電圧×電流」を「電圧が同じなら電流が増えるほど電力が増える」と説明できれば、形を変えた問題にも対応できます
- 臨床の場面に置き換える:オームの法則を漏れ電流、流体の式を血流や回路内圧に置き換えると、覚えやすくなります
過去問の具体的な回し方は国試の過去問の使い方で詳しく解説しています。
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点滴の滴下計算、薬液の希釈、酸素ボンベ、BMIなどの計算問題は、医療計算問題集(無料サンプル5問)で練習できます。
もっと踏み込んだ対策をしたい方へ
この記事では全体像を紹介しましたが、実際に問題を解きながら弱点を確認したい方向けに、キーワード検索できるオリジナル問題集を作りました。「IABP」「PEEP」など苦手な用語で絞り込んで、その分野だけを集中して復習できる形式です。配点比率の高い「生体機能代行装置学」の60問に加えて、医学概論から医用機器安全管理学までの8科目の60問を収録し、全9科目・120問(解答・解説付き)になりました。
まとめ
臨床工学技士国家試験は範囲が広い分、配点の高い科目(特に生体機能代行装置学)を優先し、過去問で出題傾向を掴みながら計算問題は「意味の理解」を重視するのが効率の良い進め方だと感じています。範囲の広さに圧倒されず、優先順位をつけて取り組んでみてください。
よくある質問
暗記と計算、どちらを優先すべきですか?
配点比率と自分の得意不得意次第ですが、計算問題は理解に時間がかかる分、早めに取り組んでおくことをおすすめします。暗記科目は直前期にまとめて詰め込みやすい範囲です。
実習と国家試験の勉強はどう両立すればいいですか?
実習で見た内容をその日のうちに教科書で確認する、という往復を意識すると、実習自体が勉強時間の一部になります。別々に捉えず、つなげて考えるのがおすすめです。
何年分の過去問を解けばいいですか?
最低でも直近3〜5年分は解いておきたいところです。出題傾向は年によって多少変わるので、複数年分に触れておくと安心感が違います。


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