患者さんの「歩けるようになった」「家に帰れるようになった」に立ち会える理学療法士。やりがいの大きい仕事ですが、体力面や働き方の面で「きつい」と言われる部分もあります。同じ病院で働くコメディカルとして見てきた姿と、職種の特徴をもとにまとめました。
筆者は臨床工学技士です。理学療法士として働いた経験はないため、同じ病院で一緒に働く立場から見た実感と、職種について公表されている情報をもとに書いています。職場によって実情は大きく異なる点をご了承ください。
きついと言われやすいポイント
「単位」のノルマに追われる
医療保険のリハビリは20分を1単位として算定され、療法士1人あたり1日18単位が標準、24単位が上限とされています。多くの病院で1日の目標単位数が決められており、患者さんと向き合う時間の中にも「時間内に何単位こなすか」というプレッシャーがあります。
移乗・歩行介助で体に負担がかかる
ベッドから車いすへの移乗、立ち上がりや歩行の介助など、患者さんの体を支える場面が一日に何度もあります。腰を痛める療法士は少なくなく、自分の体のケアも仕事の一部と言えます。
書類仕事が多い
リハビリの実施記録、リハビリテーション実施計画書、カンファレンスの資料、退院に向けた報告書など、患者さんを担当するほど書類も増えます。リハビリの時間が終わってから書類に取りかかるため、残業の原因になりやすい部分です。
年収が上がりにくい
求人倍率は高いものの、リハビリの報酬は時間単位で上限があるため、給与を上げにくい構造があります。経験を積んでも年収の伸びが小さいことに、将来への不安を感じる人もいます。
回復が見えにくい患者さんとの向き合い
すべての患者さんが順調に回復するわけではありません。病状の進行や高齢による機能低下で、思うような成果が出ないこともあります。患者さんやご家族の期待に応えきれないもどかしさは、精神的な負担になりえます。
休日の研修・勉強会
認定・専門理学療法士の取得や技術の習得のため、休日に研修会や勉強会に参加する人も多い職種です。自己投資が求められる一方、休日が削られると感じることもあります。
現場から見た実感
透析室で、理学療法士さんと一緒に仕事をしていました。透析中のベッドの上でも、ペダル運動やゴムバンドを使った筋力トレーニングなど、できる運動はたくさんあります。CEは透析中の血圧や回路の状態を見守り、理学療法士さんは患者さんの体力に合わせて運動の強さを調整する。「透析の日は疲れて何もできない」と話していた患者さんが、少しずつ歩ける距離を伸ばしていく姿は、チームにとっても大きな励みでした。体力的にも精神的にも大変な仕事ですが、その分、回復の瞬間に一番近くで立ち会える職種だと思います。
きつさと向き合うためのヒント
転職時は1日の目標単位数、書類の電子化の程度、残業時間を具体的に確認しておくと、入職後のギャップを減らせます。
訪問件数に応じたインセンティブがある事業所もあり、年収面の悩みを解決できることがあります。
介助時のボディメカニクスを意識し、インソールやクッション性の高い靴で足腰の負担を減らしましょう。
呼吸・心臓・脳卒中・スポーツなど、専門分野を決めると、勉強の方向性とキャリアの軸がはっきりします。
年収の詳しいデータは理学療法士の年収のリアルに、立ち仕事向けの靴やインソールは医療従事者におすすめの仕事道具にまとめています。
職場選びで確認したいチェックリスト
- 1日の目標単位数:目標が何単位か、達成できないとどうなるか
- 書類の負担:記録や計画書が電子化されているか、書類のための時間が確保されているか
- 残業の実態:書類仕事による残業がどのくらいあるか
- 教育体制:新人教育のプログラム、症例検討会の有無
- 休日と研修:土日のシフトの有無、研修参加への補助があるか
向いている人・向いていないかもしれない人
人の回復をそばで支えたい人、体を動かすことが好きな人、患者さんの小さな変化を喜べる人、チームで目標を共有するのが好きな人。
短期間で目に見える成果を求める人や、体への負担が大きい介助がつらい人。訪問リハや外来など、働く場所を変えることで合うこともあります。
まとめ
理学療法士の仕事は、単位のノルマ、移乗・歩行介助による体の負担、書類仕事の多さ、年収の上がりにくさ、回復が見えにくい患者さんとの向き合い、休日の研修など、さまざまな大変さがあります。一方で、求人倍率が高く職場を選びやすい職種でもあります。ノルマや残業の実態を確認したうえで、訪問リハや専門分野など、自分に合った働き方を選ぶことが長く続けるポイントです。
よくある質問
理学療法士の1日の目標単位数はどのくらいですか?
施設によって異なりますが、1日18単位(6時間分)が標準の上限の目安とされているため、それに近い数を目標にしている病院が多いようです。転職時には具体的な目標単位数を確認するのがおすすめです。
体力に自信がなくても続けられますか?
介助の技術(ボディメカニクス)を身につけることで、体への負担は大きく減らせます。また、訪問リハや外来中心の職場など、介助の量が比較的少ない働き方もあります。


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