理学療法士(PT)の年収のリアル|求人倍率4.67倍なのに年収が伸びにくい理由

理学療法士(PT)の年収のリアル|求人倍率4.67倍なのに年収が伸びにくい理由 看護師・医療技術職
年収のリアル|理学療法士(PT)

病棟やICUで、患者さんの早期離床に取り組む理学療法士。求人は非常に多いのに、年収は伸びにくいと言われることもある職種です。同じ病院で働くコメディカルとして見てきた実感と、厚生労働省の公的データをもとに、理学療法士の年収のリアルをまとめます。

443.6万円
平均年収
36.2歳
平均年齢
4.67倍
有効求人倍率

公的データで見る平均年収

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)によると、理学療法士の平均年収は約443.6万円(令和7年賃金構造基本統計調査ベース)。主なコメディカル職の中では、やや低めの水準です。

職種 平均年収 平均年齢 有効求人倍率
診療放射線技師 556.5万円 41.1歳 1.07倍
臨床検査技師 482万円 40.2歳 1.50倍
臨床工学技士 454.2万円 37.6歳 1.73倍
理学療法士 443.6万円 36.2歳 4.67倍

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)。年収・年齢は令和7年賃金構造基本統計調査、有効求人倍率は令和7年度ハローワーク求人統計をもとに作成されたもの。

一方で、有効求人倍率は4.67倍と、比較した職種の中で飛び抜けて高い数字です。平均年齢も36.2歳と若く、若い世代が多い職種であることも平均年収が低めに出る理由のひとつと考えられます。

「求人は多いのに年収が伸びにくい」理由

1

リハビリの報酬は「時間単位」で上限がある

医療保険のリハビリは、20分を1単位として診療報酬が算定されます。療法士1人あたり1日18単位が標準、24単位が上限とされているため、1人の理学療法士が生み出せる収入には天井があります。これが給与を上げにくい構造的な理由のひとつと言われています。

2

有資格者が急速に増えている

国家試験の合格者は毎年1万人を超えており、就業者数も約20万人とコメディカル職の中でも多い職種です。求人は多いものの、給与水準の上昇にはつながりにくい状況が続いています。

3

夜勤・当直が少ない

日中の勤務がほとんどで、夜勤や当直の手当で年収を上げる機会が少ない職種です。生活リズムを整えやすいという大きなメリットの裏返しでもあります。

理学療法士の有効求人倍率は?都道府県別に見ると

有効求人倍率は、仕事を探している人1人に対して、求人がいくつあるかを表す数字です。1倍を超えると「人より求人のほうが多い」状態です。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)によると、理学療法士の有効求人倍率は全国で4.67倍(令和7年度)。求職者1人に対して4件以上の求人がある計算で、臨床工学技士(1.73倍)や診療放射線技師(1.07倍)と比べても高い水準です。ハローワークに出ている求人の月給の目安(求人賃金)は、全国で27.6万円です。

ポイント

  • 高い県:栃木県10.26倍、奈良県10.19倍、神奈川県9.85倍、岐阜県8.17倍、愛知県7.33倍
  • 低い県:島根県1.41倍、鳥取県1.70倍、鹿児島県1.96倍、秋田県2.14倍、徳島県2.24倍
  • いちばん低い県でも1倍を超えていて、全国どこでも「求人のほうが多い」状態

都道府県別の一覧(有効求人倍率の高い順)

順位 都道府県 有効求人倍率 求人賃金(月額)
1 栃木県 10.26倍 29.5〜32.3万円
2 奈良県 10.19倍 28.3〜35万円
3 神奈川県 9.85倍 28.9〜35.4万円
4 岐阜県 8.17倍 25.5〜31.1万円
5 愛知県 7.33倍 24.5〜31.4万円
6 三重県 6.83倍 24.5〜30.4万円
7 兵庫県 6.56倍 24.4〜30.8万円
8 東京都 6.55倍 27.7〜32.9万円
9 静岡県 6.31倍 23.9〜30.8万円
10 石川県 6.23倍 25.8〜30.2万円
11 京都府 5.82倍 23.7〜28.7万円
12 埼玉県 5.80倍 26.3〜31.8万円
13 大阪府 5.72倍 26.5〜31.6万円
14 群馬県 5.47倍 24.4〜31.4万円
15 広島県 5.24倍 24.1〜29.5万円
16 滋賀県 5.05倍 23.7〜28.9万円
17 宮崎県 4.84倍 22〜27.6万円
18 千葉県 4.72倍 25.8〜33万円
19 茨城県 4.71倍 24.2〜31.6万円
20 熊本県 4.70倍 23.1〜27.8万円
21 新潟県 4.61倍 21.8〜29.2万円
22 愛媛県 4.28倍 23.3〜29.2万円
23 青森県 4.27倍 22.8〜28.1万円
24 富山県 4.26倍 22.2〜27.2万円
25 沖縄県 4.16倍 23.2〜28.1万円
26 山梨県 4.04倍 23.7〜32.5万円
27 大分県 4.02倍 22.6〜27.7万円
28 岡山県 3.94倍 23.3〜27.7万円
29 佐賀県 3.87倍 22.9〜27万円
30 福岡県 3.84倍 24〜29.4万円
31 岩手県 3.68倍 22〜28.2万円
32 福井県 3.62倍 22.1〜28万円
33 宮城県 3.61倍 23.2〜28万円
34 香川県 3.61倍 24〜30万円
35 長野県 3.25倍 21.9〜28.1万円
36 北海道 3.08倍 22.8〜28.5万円
37 福島県 3.06倍 22.8〜29万円
38 和歌山県 2.96倍 25.7〜31.7万円
39 高知県 2.73倍 24.4〜28.2万円
40 山形県 2.69倍 22.7〜29.5万円
41 長崎県 2.62倍 23.2〜27.6万円
42 山口県 2.57倍 23.1〜27.8万円
43 徳島県 2.24倍 23.5〜28.4万円
44 秋田県 2.14倍 22.5〜26.9万円
45 鹿児島県 1.96倍 22.9〜28.1万円
46 鳥取県 1.70倍 21.6〜27.8万円
47 島根県 1.41倍 21.1〜25.6万円

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag) 理学療法士(PT)。ハローワーク求人統計データ(令和7年度)。ハローワーク以外の求人サイトや転職エージェントの求人は含まれません。

有効求人倍率が高いのに、年収が上がりにくいのはなぜ?

求人が多いと「選び放題で年収も上がる」と思いがちですが、理学療法士の場合はそう単純ではありません。リハビリの報酬は診療報酬・介護報酬で決まっていて、1人の理学療法士が生み出せる収入に上限があるためです。求人の多さは「職場を選びやすい」「条件の交渉がしやすい」という強みとして生かし、年収は役職や専門性、職場の種類で上げていく、と考えるのが現実的です。詳しくはこの記事の「求人は多いのに年収が伸びにくい」理由と、年収を上げるための選択肢で解説しています。

年収を上げるための選択肢

訪問リハビリ

訪問件数に応じたインセンティブがある事業所もあり、病院勤務より年収が上がるケースがあります。

管理職・役職

リハビリ部門の主任・科長など。スタッフ数の多い職種なので、マネジメント経験は評価されやすいです。

認定・専門理学療法士

日本理学療法士協会の認定制度。資格手当の有無は施設によりますが、専門性を示す材料になります。

介護・予防領域

介護老人保健施設やデイケア、自治体の介護予防事業など、医療以外にも活躍の場が広がっています。

たく

現場から見た実感

透析室では、理学療法士さんと一緒に働く機会があります。最近は「腎臓リハビリテーション」が注目されていて、透析中のベッド上で運動療法を行う施設が増えてきました。2022年度の診療報酬改定では、研修を受けた理学療法士などが透析中に20分以上の運動指導を行った場合の「透析時運動指導等加算」も新設されています。病院のリハビリ室以外にも、透析室のように理学療法士の専門性が求められる場所は広がっています。求人倍率の高さを考えると、理学療法士は「職場を選べる立場」にある職種です。年収を重視するなら、訪問リハやインセンティブのある職場など、給与の仕組み自体が違う職場を比べてみるのがおすすめです。

年代別に見る理学療法士の年収

理学療法士と臨床工学技士の年代別年収のグラフ
図:理学療法士と臨床工学技士の年代別年収のグラフ

年代別に見ると、20代前半の約338万円から少しずつ上がり、40代後半で500万円台に届きます。若い年代では臨床工学技士とほぼ同じ水準ですが、上がり方はゆるやかです。一方で、若い世代の割合が高いことが、全体の平均年収が低く見える理由のひとつになっています。

年齢 理学療法士 (参考)臨床工学技士
20〜24歳 337.5万円 333.9万円
25〜29歳 397.8万円 404.8万円
30〜34歳 431.5万円 442.7万円
35〜39歳 457.1万円 498.0万円
40〜44歳 482.1万円 517.1万円
45〜49歳 519.7万円 543.1万円
50〜54歳 548.8万円 476.7万円
55〜59歳 525.2万円 553.9万円
60〜64歳 592.6万円 471.4万円

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)の年齢別年収(令和7年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成されたもの)。年代によっては調査の対象人数が少なく、年ごとの変動が大きい点に注意してください。

働く場所による違い

働く場所 年収の傾向 働き方の特徴
急性期病院 標準的 手術後・発症直後のリハビリ。ICUや透析室での腎臓リハビリも
回復期リハビリ病院 標準的 在宅復帰に向けた集中的なリハビリ。土日のシフトがあることも
訪問リハビリ インセンティブで上がることも 1日5〜6件程度の訪問。移動が多い
介護老人保健施設・デイケア 施設による 生活機能の維持が中心。業務のペースは比較的穏やか

まとめ

理学療法士の平均年収は約443.6万円で、主なコメディカル職の中ではやや低めです。ただし有効求人倍率は4.67倍と非常に高く、職場を選びやすい職種でもあります。リハビリの診療報酬に上限があることや、有資格者の増加、夜勤の少なさなどが年収の伸びにくさにつながっている一方、訪問リハや管理職、介護・予防領域など、働き方を変えることで年収を上げる道もあります。

よくある質問

Q

理学療法士と作業療法士で年収は違いますか?

勤務先や働き方が似ているため、大きな差は出にくい職種同士です。どちらも勤務先の種類(病院・訪問・介護施設)による差の方が大きい傾向があります。

Q

理学療法士は将来性がありますか?

高齢化によってリハビリの需要は増え続けており、求人倍率も高い水準にあります。一方で有資格者も増えているため、専門分野を持つことや、訪問・予防など需要が伸びている領域で経験を積むことが、今後はより大切になると考えられます。

参考資料

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