CTやMRIの検査室の前を通るたびに、「放射線技師さんは当直も多くて大変そうだな」と感じてきました。同じ病院で働くコメディカルとして見てきた実感と、厚生労働省の公的データをもとに、診療放射線技師の年収のリアルをまとめます。
公的データで見る平均年収
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)によると、診療放射線技師の平均年収は約556.5万円(令和7年賃金構造基本統計調査ベース)。病院で働く主なコメディカル職の中では、最も高い水準です。
| 職種 | 平均年収 | 平均年齢 | 有効求人倍率 |
|---|---|---|---|
| 診療放射線技師 | 556.5万円 | 41.1歳 | 1.07倍 |
| 臨床検査技師 | 482万円 | 40.2歳 | 1.50倍 |
| 臨床工学技士 | 454.2万円 | 37.6歳 | 1.73倍 |
| 理学療法士 | 443.6万円 | 36.2歳 | 4.67倍 |
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)。年収・年齢は令和7年賃金構造基本統計調査、有効求人倍率は令和7年度ハローワーク求人統計をもとに作成されたもの。
ただし、平均年齢は41.1歳と、ほかの職種より高めです。平均年収は年齢構成の影響も受けるので、「放射線技師になれば誰でも550万円以上」というわけではない点には注意が必要です。
年収が高めになりやすい理由
当直・オンコールの手当が大きい
救急を受け入れている病院では、夜間や休日でもCT・X線撮影の依頼が入ります。そのため当直やオンコールの体制を組んでいる施設が多く、その分の手当が年収を押し上げやすくなります。
扱う装置が高度で専門性が高い
CT・MRI・血管造影・核医学・放射線治療など、高額で専門的な装置を扱う職種です。放射線の安全管理という責任の重さも、給与水準に反映されていると考えられます。
一方で、求人倍率は低め
有効求人倍率は1.07倍と、比較した職種の中では最も低い数字です。養成校が多く、資格を持つ人が安定して増えていることもあり、条件の良い病院の求人には応募が集まりやすい傾向があります。「年収は高いが、好条件の職場に入るための競争はそれなりにある」職種と言えそうです。
年収を上げるための選択肢
検診マンモグラフィ撮影認定診療放射線技師、X線CT認定技師、磁気共鳴(MRI)専門技術者、放射線治療専門放射線技師など。資格手当や、専門部署への配属につながることがあります。
救急・高度医療を担う病院ほど、装置の種類も当直手当も多くなりやすいです。
医療機器メーカーのアプリケーションスペシャリスト(装置の操作指導・導入支援)は、臨床経験を活かせる代表的なキャリアです。
当直がない分、年収は下がることもありますが、日勤中心で働きやすさを重視したい人に選ばれています。
現場から見た実感
CEとして病院で働いていると、放射線技師さんとはMRI検査時の医療機器の持ち込み確認や、カテーテル室での業務などで関わる機会があります。夜間の緊急CTにすぐ対応している姿を見ると、年収の高さは当直や呼び出しの負担と表裏一体なんだろうと感じます。「年収」だけで比べるなら、当直の回数やオンコールの頻度もあわせて確認しておくのがおすすめです。
求人票の年収例には当直手当が含まれていることがあります。当直の回数が変われば年収も大きく変わるので、「月に何回程度の当直で、この年収になるのか」を確認しておくと、入職後のギャップを減らせます。
年代別に見る診療放射線技師の年収

年代別に見ると、20代前半の約369万円から、40代前半には600万円を超え、50代後半では700万円台に達しています。どの年代でも臨床工学技士より高い水準で、特に40代以降の伸びが大きいのが特徴です。役職や当直の回数が年収に反映されやすい年代だと考えられます。
| 年齢 | 診療放射線技師 | (参考)臨床工学技士 |
|---|---|---|
| 20〜24歳 | 369.1万円 | 333.9万円 |
| 25〜29歳 | 452.1万円 | 404.8万円 |
| 30〜34歳 | 518.1万円 | 442.7万円 |
| 35〜39歳 | 525.3万円 | 498.0万円 |
| 40〜44歳 | 606.3万円 | 517.1万円 |
| 45〜49歳 | 609.3万円 | 543.1万円 |
| 50〜54歳 | 654.5万円 | 476.7万円 |
| 55〜59歳 | 738.7万円 | 553.9万円 |
| 60〜64歳 | 614.1万円 | 471.4万円 |
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)の年齢別年収(令和7年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成されたもの)。年代によっては調査の対象人数が少なく、年ごとの変動が大きい点に注意してください。
勤務先の種類による違い
| 勤務先 | 年収の傾向 | 働き方の特徴 |
|---|---|---|
| 救急のある総合病院・大学病院 | 当直手当で高くなりやすい | CT・MRI・血管撮影など幅広く経験できる |
| 中小規模の病院 | 施設による差が大きい | 少人数で一般撮影からCTまで幅広く担当 |
| 健診センター・クリニック | 当直がない分、やや下がることも | 日勤中心。一般撮影・マンモグラフィ・胃透視が中心 |
| 医療機器メーカー | 企業の給与体系による | 装置の操作指導・導入支援など臨床以外の仕事 |
まとめ
診療放射線技師の平均年収は約556.5万円で、主なコメディカル職の中では最も高い水準です。当直・オンコール手当や高度な装置を扱う専門性が理由と考えられる一方、求人倍率は1.07倍と低く、好条件の職場には応募が集まりやすい傾向があります。専門資格の取得や規模の大きい病院への転職、メーカーへのキャリアチェンジなど、年収を上げる道は複数あります。
よくある質問
放射線技師と臨床検査技師、どちらが年収は高いですか?
公的データでは放射線技師(約556.5万円)の方が臨床検査技師(約482万円)より高くなっています。ただし勤務先の規模や当直の有無による差も大きいため、職種よりも職場選びの影響が大きいこともあります。臨床検査技師の年収もあわせてどうぞ。
当直がない職場だと年収はどのくらい下がりますか?
施設によって手当の額が大きく異なるため一概には言えませんが、当直手当が年収に占める割合は小さくありません。健診センターやクリニックなど当直のない職場を検討する場合は、基本給と賞与の水準をよく比較するのがおすすめです。


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