以前の記事では臨床工学技士の年収の全体像を紹介しましたが、今回はもう少し踏み込んで、年代・経験年数によって年収がどう変わっていくのかを整理します。転職や今後のキャリアを考える上での参考にしてください。
そもそも臨床工学技士がどんな仕事か気になる方は、先に臨床工学技士とはを読んでおくと内容がつかみやすいと思います。
年代別の年収の目安

| 年齢 | 平均年収 |
|---|---|
| 20〜24歳 | 333.9万円 |
| 25〜29歳 | 404.8万円 |
| 30〜34歳 | 442.7万円 |
| 35〜39歳 | 498.0万円 |
| 40〜44歳 | 517.1万円 |
| 45〜49歳 | 543.1万円 |
| 50〜54歳 | 476.7万円 |
| 55〜59歳 | 553.9万円 |
| 60〜64歳 | 471.4万円 |
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)、令和7年賃金構造基本統計調査。全年代の平均年収は約454.2万円(平均年齢37.6歳)。前年の調査(約430万円)から上がっています。
20代後半で400万円台、30代後半で500万円前後に届き、40代後半には540万円台まで上がっています。50代の数字は年によって上下しやすいですが、これは50代以上の臨床工学技士がまだ少なく、調査の対象人数が少ないことも影響していると考えられます。
経験年数でどう変わるか
臨床工学技士の年収は、経験を重ねるごとに少しずつ上がっていくのが基本パターンです。特に15年以上のベテラン層になると、主任・係長といった役職に就くケースが増え、役職手当が年収を押し上げる要因になります。逆に言えば、経験年数だけを積んでいても、役職や資格が伴わなければ大きな伸びは期待しにくい、というのが実情です。
年収を大きく左右する3つの要因
1. 施設の規模
従業員5〜9人程度の小規模施設では平均319万円ほど、1,000人以上の大規模施設では平均497万円ほどという報告があり、同じ経験年数でも150万円以上の差が出ることがあります。
2. 保有資格
透析技術認定士、体外循環技術認定士といった専門資格は、施設によっては資格手当の対象になり、年収に直接反映されるケースがあります。
3. 勤務形態(夜勤・当直の有無)
手術室やICU対応がある施設では夜勤・当直手当が年収に占める割合が大きくなりますが、透析室中心の勤務ではこの部分が少なくなる傾向があります。
年収を上げるための具体的なアクション
経験1〜5年目
まずは基本業務を一通りこなせるようになることが土台になりますが、並行して透析技術認定士など取得しやすい専門資格の勉強を始めておくと、次のステップでの差がつきます。
経験6〜10年目
資格取得と並行して、今の施設の給与水準が同規模の施設と比べて適正かを一度調べてみる時期です。規模の大きい施設への転職は、年収アップに直結しやすい選択肢の一つです。
経験10年以上
役職への昇進を目指すか、医療機器メーカーなどCE資格を活かせる異業種への転換を検討するか、選択肢が広がる時期です。どちらが合っているかは、現場で手を動かし続けたいか、別の形で医療に関わりたいかによって変わってきます。
他のコメディカル職と比べると
同じ病院で働く主なコメディカル職と比べると、臨床工学技士は平均年齢が比較的若いことが分かります。平均年収の差には、この年齢構成の違いも影響しています。
| 職種 | 平均年収 | 平均年齢 | 有効求人倍率 |
|---|---|---|---|
| 診療放射線技師 | 556.5万円 | 41.1歳 | 1.07倍 |
| 臨床検査技師 | 482万円 | 40.2歳 | 1.50倍 |
| 臨床工学技士 | 454.2万円 | 37.6歳 | 1.73倍 |
| 理学療法士 | 443.6万円 | 36.2歳 | 4.67倍 |
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)。年収・年齢は令和7年賃金構造基本統計調査、有効求人倍率は令和7年度ハローワーク求人統計をもとに作成されたもの。
年収アップのためにチェックしたい資格
| 資格 | 分野 | 目安 |
|---|---|---|
| 透析技術認定士 | 透析 | 透析実務2年以上で受講可能。透析室勤務なら最初の目標に |
| 体外循環技術認定士 | 人工心肺 | 手術室で体外循環に関わるCE向け |
| 3学会合同呼吸療法認定士 | 人工呼吸 | ICU・病棟で呼吸器に関わるCE向け。看護師・理学療法士も受験 |
| VA管理指導士 | シャント管理 | 2026年開始の新資格。エコー評価の経験が生きる |
資格手当の有無や金額は施設によって違うため、今の職場や転職先の制度を確認したうえで、優先順位をつけて取り組むのがおすすめです。
40代後半以降・50代の働き方
統計上は40代後半にかけて年収が上がり続けていますが、その先は役職の有無や勤務形態によって分岐が大きくなります。管理職として残る場合は年収を維持・微増させやすい一方、体力面を考慮して現場業務量を減らす選択をした場合は、その分年収が緩やかに下がるケースもあります。50代以降は「年収の最大化」より「体力・健康面と収入のバランス」を重視した働き方を選ぶ人が増えてくる時期だという印象を持っています。定年後も、経験を活かして非常勤やパート勤務で現場に関わり続ける道もあり、CEはこうした働き方の選択肢が比較的多い職種だと感じています。
年収は40代後半まで上がっていく傾向がありますが、その伸びを支えているのは主に役職・資格・施設規模です。40代までにどれだけそれらを積み上げておくかが、その後の年収の土台になります。
転職を考えている人へ
自分の経験年数だと、年収の相場はいくら?
年代・経験年数ごとの平均はあくまで目安です。転職エージェントの面談では、今の経験と資格で実際にどのくらいの求人があるかを聞けます。すぐに転職しなくても、相場を知っておくだけで昇給交渉の材料になります。
まとめ
臨床工学技士の年収は、年代が上がるにつれて上昇し、最新の統計では40代後半に540万円台まで届いています。ただし、施設の規模・資格・勤務形態によって差が大きく出るため、「今の職場でできること」と「転職して変えられること」を分けて考えることが、年収を上げる近道になります。
よくある質問
Q. 30代未経験でもこの業界に入れる?
A. 専門学校・大学での指定科目履修と国家試験合格が必要なため、年齢そのものより「学び直す時間を作れるか」が壁になります。実際に30代で入学し直す方もいます。
Q. 女性は年収が低くなりやすい?
A. 職種としての男女差というより、夜勤・当直の有無や時短勤務の選択によって差が出やすい構造です。ライフステージに応じて勤務形態を選べる施設かどうかを確認するのがポイントです。
Q. 役職に就くにはどうすればいい?
A. 経験年数に加えて、後輩指導や委員会活動など、施設内でのマネジメント経験を積んでいることが評価されるケースが多い印象です。
Q. 50代からの転職は不利になりますか?
A. 未経験職種への転職ほどの大きな不利はありませんが、体力面や新しい環境への適応力を懸念されることはあります。長年の経験を活かせる指導的な立場や、非常勤・パートといった働き方も含めて選択肢を広げて検討するのがおすすめです。
Q. 定年後も働き続けることはできますか?
A. 施設によっては再雇用制度や非常勤としての継続雇用があります。フルタイムでの現場業務は体力的に見直す時期でも、指導役や日勤のみの勤務など、経験を活かせる働き方を用意している施設もあります。


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